続・令和7年度防衛モニターを受嘱しました

posted in: Blog | 0

前回のつづきです

いよいよ格納庫の中で機体を見学します……が、陸上自衛隊唯一の固定翼機(狭い意味での飛行機)LR-2はメンテナンスのためお留守でした。

そのため回転翼機、つまりヘリコプターを見学します

UH-1J

まずは、富士重工業製UH-1Jを見学。

富士重工業……いまのSUBARUですね。なんかヘリでSUBARUって言われてもどうもしっくりきませんが……

原型機のUH-1は、アメリカのベル・エアクラフトが開発したもので、UH-1JはUH-1のライセンス生産品を富士重工業が独自改良したものだそう。

格納庫内、引き画はNGといわれたので、まずはコクピットの様子から。

UH-1Jの操縦席(右席)

意外と、というとアレですが、センターペデスタルには民間機でも見覚えのあるFMS/CDUが備わってるようです。(左下の画面がそれ。ただ、本当にFMS/CDUかどうかは聞かなかったので分かりません)

というか、どうもUH-1Jは民間用のものもあって、その名も富士ベル式205Bと言うとかなんとか。(SUBARU Webサイト参照)

SUBARUのWebサイトでは「本機を共通プラットフォームとして陸上自衛隊向けに開発されたUH-1J」って書いてますから、開発順序としては205B→UH-1Jってことなんでしょうね。

コクピットの後ろは当然人が乗ったり荷物を積むスペースで、このときは座席+増槽(追加の燃料タンク)という仕様になってました。

座席と言ってもご覧のとおり実にスパルタン。

自分も座ってみましたが、「ケビン・コスナーじゃん」「エアーウルフだね」「トップガンみたい」 と言いたくなるスパルタンさです。

ただ、隣に広報さんがいたので、言いたい気持ちをグッと抑えて座ってました。(どうでしょう藩士なら反応してくれるでしょうけれども、そうじゃないとスベりますな、絶対)

 

ちなみに、ヘリコプターという乗り物、地上に立った状態から乗ろうと思うと床が結構高くて難渋します。地上に立った状態で膝より上に床があります。

後部のキャビンに乗るなら、床に手をついてよじ登ることもできますが、操縦席ではそうもいきません。

一応ステップや手すりもついてたりするんですが、これがまた微妙な位置関係でそれなりに難渋します

まあ、デブには操縦できない乗り物だなぁ、なとど

乗るとき大変なだけど、座ってしまえばどうってことないんですけれども。>操縦席

まあ乗り降りも慣れなんでしょう。

こちらが機体を浮かせる原動力、エンジンです。

エンジンは川崎重工製T-53……ターボシャフトエンジンです。

ターボシャフトエンジン、モノとしてはATRなどに搭載されいてるターボプロップエンジンとほぼ差はなく、排気を推力として使わないのがターボシャフト、排気も推力の一部として使うのがターボプロップって感じらしいです。

そもそも、HACも使ってたSAAB340BのエンジンであるGE CT-7も元々ヘリで使われるターボシャフトエンジンだったんですよね。そういえば。

なお、これもライセンス生産品だそうですが、開発当初はライカミングという会社の製品だったものが、いまはハネウェル・エアロスペースが諸々の権利を持って、川崎重工はここからライセンスを受けて生産・整備をしているそうです。(川崎重工Webサイト参照)

ヘリの世界というか、軍用機の世界というか、いずれにしても複雑な世界であります。

これはエンジンのエアインテーク部分。石などの飛来物はおろか、雨・雪も吸い込まないように、ということでメッシュ状になってるそうです。

そう考えると民間機のエンジンってこういう飛来物とか雨・雪の対策ってどうなってるんでしょうね。

ちなみに、エンジンは横置きです。でもロータの回転軸は縦……ということで、ヘリコプターはトランスミッションがあるそうです。客室の写真の左奥の壁の中がトランスミッションだそう。そう考えるとスペース効率よくないんですね。

なお、座席に座ったときにトランスミッションだと教えて貰いましたが、「飛行中ってうるさいでしょう?」と聞くと、「すぐ慣れて、なんなら眠れます」とのこと。

ま、自分も音楽爆音でかけてても寝られるんで、似たようなものですね。

で、外観2枚。

ピトー管(を覆う “REMOVE BEFORE FLIGHT”のリボン)と部隊マークです。

下のリボンのようなところには英語で“1st AVIATION NORTHERN ARMY HELICOPTER / CAMP OAKADAMA SAPPORO JAPAN”とありますので、北部方面ヘリコプター隊第1飛行隊のもののようです。

 

OH-1

つづいて観測ヘリ、OH-1です。

純国産ということを強調してましたね。

調べてみると、川崎重工を中心に富士重工と三菱重工(エンジン)という日本三大重工会社の合作のようです。

現場部隊では、コールサインから「オメガ」と呼んでいるそうですが、防衛省の名付けた愛称は「ニンジャ」だそうです。

でも、川崎でニンジャじゃバイクじゃないですか……(カワサキ Ninja250 商品ページ)

それはさておき、OH-1は格納庫の隅においてあったので、これはちゃんと外観撮ってきました。むしろ内部のほうが撮るの憚られたので機内はありません。

前後に2名乗るタンデムスタイルで、後部座席の上、メインローターの下にある丸っこいものはカメラだそうです。(後ろ側向いてますが)

で、操縦系はグラスコクピットでした。話によればグラスコクピットなので(というよりデジタルアビオニクスもしくは自動化されているからということでしょうけれども)ホバリングが容易だとか。

観測ヘリというとよくわかりませんが、偵察機と言えばそのお仕事はわかりやすいかもしれないですね。

偵察ということはその場で動かないでいることもあるでしょうから、ホバリングがラクというのはお仕事的に必要なことなのでしょう。

カメラがついているのも同様に観測任務のためで、これがあることで機体を物陰に隠しながら観測できるので、敵から見つかりづらくなったりするとかなんとか。

どこにどうやって隠れるんだろ……とは思いましたがそういう訓練もされているのでしょう、たぶん。

ちなみに、このOH-1は武装がついてます。エンジンのエアインテーク部分とタイヤのあいだにぶら下がって箱のようなものがそれですね。

短SAMと言ってましたが、調べてみたら91式地対空携帯誘導弾(スティンガー)の空対空バージョンのようです。

敵に見つかったときにこいつを撃って時間稼ぎして逃げる、というのが主目的の武装だそうで、盛大に戦うようなヘリではないそうな。(偵察機ですしね)

敵に見つかる見つからないという話でいうと、このプロペラ(メインローター)、前縁に電波を反射しづらい塗料を使ってるそうです。

ステルス性を上げるってことですね。

このテールローター、よく見ると羽根の配置が微妙にずれてます。これも静かにする工夫だそうです。

OH-1の国籍マークと「陸上自衛隊」の所属標記です。

 

おわりに

ということで、およそ2時間、駆け足で色々見学をしてきました。

これから2年間にわたり、駐屯地のみなさま(おそらく丘珠だけではなく他の駐屯地にもお邪魔することもあるのかもしれません:旅団全体なんて話もあったので)にお世話になり、勉強させていただきながら、畏れ多くもご意見を差し上げることになります。

最後に真面目な話をしておくと、自衛隊のみなさんは日々勤務に、訓練に励んでいらっしゃるわけですが、これがムダになることが日本という国にとっては一番よいことなんでしょうが、自然災害の多い本邦ですから、好むと好まざるとによらず自衛隊の皆さんにお世話になる日もあるのだと思います。

そして世界を見回せば、よもや本邦に対する急迫不正の侵害がないとも言い切れませんし……

いずれにしましても、まあ素人なんで、素人なりに思った事を率直に、防衛当局にお伝えできればいいのかなと思っています。

せっかく見せていただけるのであれば、本当に微力ながら広報の足しにでもなればと思い、今後もお招きいただいた際にはレポートしていければ。

 

おまけ

丘珠駐屯地のキャラクター、「たまちゃん」です。(リンクは丘珠駐屯地Webサイト「たまちゃんの部屋」)

見学を終えて式典のあった部屋(荷物を置いていた)に戻るときていました。

モチーフは当然丘珠名物のたまねぎですね。

左目(向かって右目)に涙をたたえているのは、航空安全を願い、悲しい涙を流さないで済むよう、先にたまちゃんが涙を流していてくれる、ということだそう。

 

 

 

では、今日はこんなところです。